Vol.20はシンガーソングライターの諸星貴之さんのインタビューです。
諸星さんは、2015年にバンド「fourest」からソロとして活動開始。
本年3月からはシングル12曲を連続リリース。その集大成として12月27日に下北沢CLUB Queでワンマンライブを企画しています。
「たとえ未完成であっても全力で押し出した手がかっこ悪いわけない」がモットーの諸星さん。
連続リリースについてのお話や、ワンマンに向けての意気込みを語って頂きました。
インタビュー記事
~音楽を始めたきっかけ~
“ずっとサッカー少年だったんです。音楽始めた瞬間からあんまりやらなくなっちゃって。それでここまできちゃいましたね。”
中学1年生の時に仲のいい友達の家にギターがあって、いつもそこの家に行くとそのギターを弾かせてもらっていました。僕が通っていた中学はみんな尾崎豊が大好きで、その友達の家もいつも尾崎豊が流れていたんです。それで『15の夜』を自分でギターも買わずに、3か月間練習して弾けるようになって。それがギターを弾き始めたきっかけですね。
自分で曲を作ったのは、18歳とか19歳くらいですかね。エアロスミスとかB’zとかが好きだったので、そのコピーバンドをやっていて。
十条駅にある『自由造』っていうライブハウスに出演したら、そこの店長さんにライブが終わった後に「コンスタントにでれば?」って言ってもらって。自分は「でます!」って言ったんですけど、バンドのみんなは進路のこともあるから出ないってなって。そしたら、その店長さんに「じゃあ、1人でもやっちゃえば」って言ってもらって、それが弾き語りをやった最初なんです。訳がわかってなかったから、毎回新曲作っていきましたね。同じような曲でしたけど。
で、それを観に来ていた、幼馴染のギターをやってる友達が「一緒にやろうよ」って言ってくれて2人で「forest」というバンドを始めたんです。ゆずみたいな感じで、2人でギター弾いて。その友達はビートルズとか洋楽が好きだったので、その影響も受けましたね。その2人に、ベースが入って3人になって、という感じで広がっていきました。後に「fourest」に改名しました。
バンドに憧れ始めたのは、高校生の時ですね。僕は男子校に通っていたんですけど、共学の学校の学祭に行って、友達が軽音部でバンドをやっていて、女の子達にキャーキャー言われているのを見て、「いいなあ」ってなりましたね。この話をすると、大体同業者の人たちは喜ぶんですよね。「ほんとはそれだろ!」ってなるんです。
ずっとサッカー少年だったんです。だから音楽やる前は、「サッカー選手になりたい」って思って毎日サッカーをやってたんですけど、音楽始めた瞬間からあんまりやらなくなっちゃって。それでここまできちゃいましたね。高校卒業して、大学に行ってからもずっと音楽ばっかりやって、就活も一度もしなかったんですよね。大学ではモダンジャズ研究部ってとこに入って、でも全然ジャズをやっていない団体で。僕もそこでロックバンドを組んでやってました。だから、「fourest」をしながら、大学でもバンドをしてたんで、音楽三昧な学生時代でした。本当に楽しかったですね。
中学、高校、大人になってからも含めてバンドを、音楽を一緒にやれた人達はみんなかけがえのない仲間です。色んな人に支えてもらいながら音楽を続けてこれたと思います。それがなければ、もうとっくにやめていたかも、、、。
今でも感謝しかないです。
~ソロになって~
“自由に発表できたことはやって良かったなって思う所ですね。”
ソロは軽快ですよね。ライブを決めるにしても、バンドの時はみんなに相談してからなんですけど、ソロは自分のOKでいけちゃうんで。でも、裏っ返すと相談する人がいなくて。全部1人で決めるので、孤独は孤独です。大変さはそれですね。
誰かに頼るのがだんだんへたくそになっていくんですよね。辛いんだけど、自分でやっている方が安心しちゃうとこもあって。このまま突っ走ってて大丈夫なのかなって心配になる時もたまにありますね。でも、毎晩ビール飲んで、癒されて頑張ってます。笑。
_今年の3月から始まった12曲連続リリースも軽快だったからこそですかね?
そうですね。バンドだったら難しかったかもしれないですね。今回のリリースは、12曲とかって決めてなかったんですよ。コロナでできることがなかった時に作っていた曲がいっぱいあって、これは表に出さないとこのまま死んじゃうなと。とりあえず外に出そうというところから始まったんですよね。「何か動かないと!」と思って。
それで1個1個出して、その都度発表すれば動きが見えて、宣伝になるかなと思いました。
12曲の曲も、コロナになってから作ったものが多くて、そうじゃないものもどこかしら統一感のあるものになったかなとは思っています。ちょっとファンタジーなところもありますね。コロナの影響も大きくあって、自由についてや、不安をどうにかしてやりたい気持ちがあったんだと思います。
例えば『明かりさん』っていう曲は、すごく暗くなっちゃう時もあるから特に意味もなくぱっと明るくなるような、わかりやすくて元気になる曲がいいなあと思ってできたんです。
_全部1人で制作されたのですか?
そうですね。ギターと歌は自分で入れて、あとは全部打ち込みなんです。DTMってやつですね。初めてやったんですけど、大変でしたね。もう、自分が今出来る限りをやろうと、割り切ってやりました。動いている方が大事だなと思って。
配信するのに提出してから2週間ぐらい時間がかかるんですけど、締め切りギリギリまで作って、それから提出するための楽曲の説明とかを書かないといけないんです。それも、1人で悩みながらやってると、結構時間が掛かってしまって。本当に大変でしたね。でも、その苦労も通りすぎると半分くらいは忘れちゃってるんですけどね。今、また話して思い出しました。
でも、自由に発表できたことはやって良かったなって思う所ですね。このアルバムは、自由がテーマでしたね。胸を張って、みんなに聴いて欲しいとなと思っています。
~おすすめの曲やエピソード~
“ラブソングよりも、応援ソングの方が多いんじゃないかなと思ってます。それは、バンドの頃から一貫してあるのかなと自分でも思っています。どうしてもそうなっちゃうんですよね。”
1番最初に出した曲は『明かりさん』なんですが、これは『おばけなんてないさ』みたいな曲を作りたくて。『おばけなんてないさ』は、小さい時すごく元気になれたんですよね。怖い夢を見たときに、これを聴くと寝れたんですよね。幼稚臭い話なんですけど。
最後にリリースした弾き語りの『大丈夫だよBaby』が1番心に残っているかもしれません。『大丈夫だよBaby』は、これはサブスクには上げていなくて、1番最初に発表した『明かりさん』の原型なんです。メロディーは全く一緒なんですけど、キーが1個上がって、歌詞が『明かりさん』よりも先に作ったから言いたいことがダイレクトかもです。
『明かりさん』も『大丈夫だよBaby』もサビで「君は優しい、それだけで最高だ」って感じで歌ってるんですけど、作った後に「優しいってなんだろう?」とか、考えてみたり。
とにかく思い切り、肯定ソングです。
ラブソングよりも、応援ソングの方が多いんじゃないかなと思ってます。それは、バンドの頃から一貫してあるのかなと自分でも思っています。どうしてもそうなっちゃうんですよね。
12曲、どれも思い入れがあり、色んなことを唄っているので是非聴いて欲しいです。
リリースするにあたり色んな人にお世話になりました。ありがとうございます。ライブでも大切に唄っていきたいと思います。
~今後の活動について~
“自主企画のワンマンが決まりまして。12月27日(火)に下北沢CLUB Queで久しぶりのバンド編成でやることになりました。”
現在週に2回のツイキャス配信をやっています。これも、今どう続けていくかは悩んでいます。「いまどきもうツイキャスじゃないでしょ」って言ってくれる人もいて。TikTokとかインスタとかじゃないかって。これは作戦考えないとなあと。時代に合わせながら。
僕は続けることは得意なんですよね。悪い言い方をするとフットワークが重いんですよ。やめるのにも勇気がいりますよね。忍耐強いって言ったらいい言い方になっちゃうんですけど。
あと、自主企画のワンマンが決まりまして。12月27日(火)に下北沢CLUB Queで久しぶりのバンド編成でやることになりました。サポートも以前からしてくれているメンバーと新しいメンバーも加わってます。大きな箱なんですけど、とてもお世話になっていて。
ワンマンでは、今回発表した12曲はしっかりやっていきたいと思ってます。やりたいことを全部やって、楽しんでもらえるようにしたいですね!
なのでみなさんにぜひ来て欲しいと思ってます!
~最後に一言~
“もっと大きな夢を与えられるようにこれからも頑張ります!!!”
「僕らはロックンロールの夢を見る」というまさにその言葉だな、と思っているんです。夢ってしんどいなって。でもやっぱり自分の夢を越えて、みんなに夢を与えていきたいなと。みんな幸せだと思うんです。でもしんどい時もみんなあるし、だから幸せにみんななって欲しいなっていうのがあるんで。自分もなりたいですし。だから、どんな時も自分を好きになってみんな生きて欲しいなって思いで、自分がビックになって、もっと大きな夢を与えられるようにこれからも頑張ります!!!
インタビュー後記
サッカー少年がある日ギターと出会い、その魅力の虜となった。
少年は自分の傍らに置くものをサッカーボールから、ギターに変えた。
少年はそれからギターと共に時を過ごし、いつしか素敵な歌唄いとなった。
大人になった今も、サッカーに夢中だった頃のような純粋な心を無くさず、その手にギターを握りしめ、自分の周りに明かりを灯すため、声を張り上げて唄い続ける。
諸星さんのお話を伺い、今まで感じていた印象と合わせて、こんな物語が心に浮かんだ。
彼の唄う歌は、素朴で力強い。真っ直ぐな気持ちが胸に突き刺さる。
そして、優しい。
迷いや戸惑いもそのまま、正直に歌う。まるで友だちのようにそっと寄り添ってくれる。
この1年、そんな諸星さんが日々紡いだたくさんの曲達が、私達のところに届けられた。
連続リリースされた12曲ひとつひとつは、それぞれに個性があり、いい意味での曲者感を感じさせる曲も多い。以前から持ち合わせていた爽やかさの中に渋みも入り、より味わい深さを増し、バリエーションに富んだ12曲となっている。
彼が1人で、コツコツと忍耐強く、ひとつひとつの曲を完成させたその道のりは決してたやすいものではなかっただろう。
舗装されていない山道を、来る日も来る日も歩みを止めずに登り切って作り上げられた12曲。
登り続ける意志を知らしめるため、きちんと完成されたものではなくても、自分の今をありのままに唄った12曲はまさに彼の生き様そのもののように感じる。
そして、その総仕上げとして迎える12月27日のワンマン。
音源とは違い、サポートメンバーの力も借りて久々のバンド編成で挑む。
彼の音楽を慕い、集まった素晴らしいサポートメンバーと共に、熱い熱いワンマンとなるのだろう。
このインタビューを行った後、彼は頻繁にギターとワンマンのチケットを持って、告知なしの路上ライブを1人行っていた。彼のもつ底知れないタフさに驚かされた。
何より、このワンマンへの並々ならぬ想いが伝わってきた。
このワンマンは彼が目指す頂上へ向けての大切な通過点。
更なる高みに向かって、歩みを止めずに登り続ける諸星さんが、今私たちに見せてくれる夢の景色はどんな素晴らしい景色になのか、楽しみにその日を待ちたい。